『はだかの起原』(木楽舎) 島泰三著
「親指はなぜ太いのか」の著者による最近の著作。10月17日付Sankei Web、稲垣真澄記者による読書のニュース【著者インタビュー】で見つけました。既にページは無いようなので、以下に紹介させていただきます。
生存に不利なのに、なぜ?自然淘汰説もアクア説も、反論しているようです。読んだら、気持ちよさそうですね。そして突然変異が重複したと説いているようです。突然変異が同時期に重なるものなのかという生物全般からしたら疑問なのですが、それを除けば、「初期人類が、骨を主食にしていた」と以前の著作で述べていたことよりは、衝撃的な内容ではなく、オーソドックスで分かりやすそうです。自分で購入したら、またきっと信じてしまうのかもしれません。
「嵐の日にはサルも岩陰などで休む」といわれてきた。「本当にそうか」と思い、島さんは台風の日にニホンザルの観察に出かけた。そこで見たのは、いつもどおりのサルたちだった。雨風に打たれてこごえる島さんたちを尻目に、樹上のコザルたちは体をブルンと振るわせ雨滴を払いながら、遊びつづけた。
「毛皮は完璧な衣類なのです。どうして人類はそうした完璧な衣類を失って、はだかになってしまったのか」
ダーウィンのいう自然淘汰説、つまり進化の過程で選別が働き、よりよい形質が残るという説が成り立たないのは明らかだ。はだかが毛皮に比べて、生存に有利な形質とはどうしても思えないからだ。
「ダーウィンは自然を実際に観察しておりません。机に座って頭の中で考えただけです。ビーグル号で五年間も航海したといってますが、あくまで航海をしていたのです」
はだかの起源を説明するものにアクア説がある。海に住むほ乳類の多くが無毛であることから、人類も一時期、海で生活したというのだ。島さんはこれも一蹴する。
「人間の肌は海水に長時間つかっているだけで潰瘍ができるほどです。海から生まれたなど考えられません。それに海に住むほ乳類で毛皮のあるものもいますし、無毛の陸上ほ乳類も少なくありません。それらを統一的に説明できないとだめです」
島さんが提示するのは、突然変異で生存に不適な形質を獲得してしまったが、同時にもう一つ不利な突然変異が起こり、二つが重複して全体でプラスになるというもの。
「言葉の獲得です。音を分節化して発語する人類の喉の構造では、食物が気管に入ってしまう危険性があります」
チンパンジーにはないそうした不適格な器官が、大脳前頭葉の発達と結びついて言葉の獲得へと至る。その言語能力によって人間は文化を作り、具体的には家と衣類を作って、はだかの不利益を克服したというのだ。
「面白い報告があります。ケジラミからコロモジラミが別れたのが、DNA分析によると七万年前というのです。それよりも少し以前に人類は衣類を着るようになったのではないでしょうか」
ネアンデルタール人は、毛皮をまとった野生動物として生存していたという。
<読売新聞書評>
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